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手塚利男のブログ

69歳介護士への道~介護現場の初日、他人の家族の中に飛び込んだ気分

2021/06/07

2020年4月1日 申し送りに出る

施設では夜勤者から日勤者への申し送りと日勤者から夜勤者への申し送り、と1日に2回の申し送りある。

まず各階から日勤の介護職が1名、夜勤者、看護師、施設長、が集まって行われる。

夜のご利用者お1人おひとりのご様子を介護の視点と看護の視点で報告する。

夜ほとんど寝ていない方については昼夜逆転してしまうので、昼は寝ないで過ごせるようにしてほしい。とか、体温や排泄で注意してほしいこと、などを共有していた。

夕方の申し送りも同じ。

全体の申し送りに出た日勤者が各階に戻り、それぞれの階で、特にその階でことを伝える。

合わせて、他の階の情報と往診や面会など施設の本日の予定なども伝える。

その申しお送りに参加した。

昨夜の利用者さん一人ひとりの健康状態や排泄の状況を念頭においてその日の介護することになる。

 

申し送りが終わった後に副施設長のMさんを紹介され、仕事を教えていただけることになった。

 

Mさんはとても気さくな人で「初任者研修でも排泄介助など習ったと思うけど、まず、見ておいてください」と言ってくれた。

 

全体の仕事の流れもまったくわからないままその日は一日中Mさんに金魚の糞のように後にくっついて動いた。

 

現場の改善では、全体の流れを頭において現場を見る癖が身に付いている私にはちょっと違和感があったが、これが指導の仕方かと考えMさんの後を必死で追いかけた。

 

ご利用者さんの居室を回り、どのような方なのか、自立度合、排泄や食事、口腔ケア、移乗、の各介助の必要性を、ざっと教えていただいた。メモを取るだけでも汗をかいてしまった。

 

Mさん、朝食を終えたIさんの車いすを押して居室に誘導し始めた。その時、すでに下拭き、おしり拭き用の暖かいタオルを手にしていた。

 

まず、Iさんの洗面台に車いすを着け、口腔ケア介助を始める。

Iさんは自分ではできないので歯ブラシに歯磨き粉を着け、口を開いていただいてもらって歯磨きをやって差し上げる。

コップに水をいれてお口に持っていき、水を口に含んでもらって、口の中でグチュグチュしてもらい、最後に洗面台に吐き出してもらう。

これも後で気づいたがすでにMさんは手にクローズをしていた。

Iさんは歯槽膿漏なので歯茎が切れやすいので気を付けること、私たちも必ずグローブをすること、と言われた。

また、歯磨きもご利用者さんによって一人ひとりできることが違う。できないことだけを介助する。「なんでもやってあげればよいのではない」とはっきり言われた。

 

これも後で体験することだが、自分で歯ブラシを口元に持っていくまで30秒から1分かかるご利用者さんもいる。ぶるぶる震える手で歯ブラシを手元に持っていこうとされるのをじっと待つのは、意地悪をしているように思えて辛い。

また、早く他の利用者さんの口腔ケアーの介助しなければならないときは、つい、手を出してたくなるし、手を出してしまうこともあった。

 

Iさんの歯磨きが終わったのでベットに移す。

Iさん、男性。身体が拘縮して身体全体が丸く固まっている状態なので腕や足がスムーズ固く、動く範囲も少ない、注意してベットに移乗した。

 

パジャマを下してオムツのテープを外した。

足が伸びないばかりか開けないお身体だったが声掛けしながらうまくボディメカニクスを活かして排泄介助をはじめた。

しも拭き用としり拭き用タオルできれいにした。

後で分かったことだが、人は緊張すると生まれたばかりの赤ちゃんのように手足、体をキュッと丸まるようなポーズになるが、Iさんもオムツ交換時にズボンを下ろして下半身を出してしまうと緊張するからさらに身体を縮めようとするのだ。

 

うまく声掛けしながら身体に触れるとリラックスして足をスーッと延ばし、開いてくれることが分かった。

それがわかったのはだいぶ後だった。

 

Iさんの排便はなかった。

 

MさんからIさんは男性なのでオムツ外に尿漏れをしないようにパットで独特の包み方をやって見せてくれた。

 

後になって自分が一人でやってみたがうまく包めず、家に帰り一足先に介護の仕事をしている妻から包み方をペーパータオルで教えてもらった。

 

9時の排泄介助は女性も含めて何人かの利用者さんを回ってが夢中でMさんの後についていったために覚えていない。

 

排泄介助の後は、10時のコーヒータイムに合わせてコーヒーの準備だ。

 

コーヒーもブラック、濃い目、砂糖は少なめ、砂糖の種類の違い、トロミを付ける、温めが良い、コップのまま飲む人、ストローで飲む人、とお1人おひとりの好みに合わせて作った。

 

コーヒーの準備ができると利用者さんをベットから車いすに移乗、フロアーに誘導。

座る位置が決まっているのだが誰がどこに座るのかわからずまごついてしまう。

 

利用者さんがテーブルに着いたらコーヒーを出す。居室で飲む人には居室まで運ぶ。

 

そして、飲み終わったころを見計らってコップの回収。「●●さんのコップ回収してきて」と言われても、●●さんの居室を探すことから始めた。

次はコーヒーを飲み終わった方から居室に誘導、ベットに移乗する。

 

ご利用者さんの中には自分で歩いてお部屋に帰る方もいる。

10時のコーヒータイムが終われば次は昼食の準備だが、その間、9時の排泄時に汚れた衣類があれば洗濯機に入れ、洗濯が終わった物はたたんでご利用者さんに返すなどの仕事がある。

8時15分から10時までの流れは、

・始める前に連絡ノートに目を通して、見たよという印(サイン)をする。

・食事の介助と居室への誘導、口腔ケア介助、ベットへの移乗。

・食事、水分摂取量の記録。

・8時45分から全体の申し送りに参加、返ってきて各階ごとに申し送りの内容を伝える

・テーブルの掃除、お昼のメニューを書く

・食器類を洗う

・排泄介助、必要あれば洗濯。

そして10時のコーヒータイムの準備となる。

その後、夕方5時30分まで次のような仕事がある。

・昼食前の口腔体操のために11時ごろに居室からフロアーに誘導。

・利用者さんと一緒に口腔体操。

・12時に配膳、食事介助。

・食指が終わった方でお薬を飲む人は配薬、目薬を差す人には目薬を差してあげる。

・食事摂取量の記録

・食事が終わって少しお休みいただいてから居室に誘導して口腔ケアの介助。

・使用した利用者さんのエプロンの洗濯、テーブル拭き、食器類の洗いもの、夕食の献立をボードに記入。

・13時過ぎから排泄介助。

・交代で60分の昼食も兼ねた休憩。

・15時のおやつに合わせて日本茶や紅茶の準備。

・おやつに合わせて居室から車いすでフロアーに誘導。

・おやつを自力で食べられない人には介助。

・おやつを居室で召し上がる人には居室まで運ぶ。

・おやつが食べ終わった再び居室に誘導し、ベットに移乗する。

・居室でおやつを召し上がった方の器やコップの回収、と同時に召し上がった量の確認

・16時からの排泄介助に入る。

・ほっとしたのが束の間、18時からの夕食に備えてお茶の準備、温めのお茶が好きな利用者には早めに作って冷ます。

・17時、夕食に向けて居室からフロアーに誘導。その時もベットから車いすに移乗介助。

・17時15分から日勤から夜勤者への引継ぎに出る。日中の利用者さんの様子を業務日誌に記入し介護の観点から夜勤者に伝える。合わせて看護の観点からも夜勤者に伝える。

・3階に戻り、利用者さんの見守りや、トイレに行きたい人の介助を行う。

時計を見ると17時30分を回っていた。

「手塚さん、今日はここまでです。お疲れさま」と言われて、終了。

これが1日の流れだ。

その他、入浴介助もあるが少しづつ経験することになる。

Mさんに必死でついて回ったが、あっという間だった。

こうして介護の一日目の仕事が終わった。

1年経った今は1日の流れを何も見なくてもだいたい書き出せるが、全体の流れがつかめるまで、日勤だけでなく、早番、遅番、入浴介助、スタッフ会議、を経験してみないとわからなかった。

全体の流れがわからないと、次に何をやるかがわからないからまごまごする。

まごまごしたり、優先してやらなければならないことをやらないと「なにしているの!」という指摘を受けたり、そういう視線を感じるようになるが、初日は皆さん優しく対応してくれるのでちょっと辛い思いをするのはもうちょっと後になる。

続く

カテゴリ:介護の仕事

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