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手塚利男のブログ

開発のミッションは「信頼と安全」

2012/03/03

先日、東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会から報告があり、菅前首相の言動について触れている。

 

しかし、菅前首相の言動は脇において、原発に関わった人たちのミッション(使命感)はどうだったのか?

 

今から十数年前に大型トラックの開発に取り組んだ人たちのことを思い出した。

 

その時は“コンセプト”といっていた「信頼と安全」は、ミッションだったのではないか。

 

舞台は、自動車(トラック)メーカーの開発部門。

 

自分たちの社会的な存在意義と、ものづくりに関わる意思決定や実行の “優先基準、判断基準”が必要だと考え、立場や部門を越えて議論した。

 

「自分たちの仕事の意味は何か」「お客様にとっての安全とは何か」といった青臭い議論が時間をかけて行ない、生まれたのが『信頼と安全』。

 

その直後にスタートした新車開発プロジェクトでは「信頼と安全」をミッションに開発に取組んだ。

 

トラックの事故現場に足を運んだり、ユーザーであるドライバーの人たちや荷主さんに話を聞きながら、「求められる安全」のイメージを明確にしていった。

 

それを反映した設計では、「事故の際に運転台の生存空間を確保する」ことが最大の焦点になった。

 

開発チームにとっての「安全」は「ドライバーの命を守る」ことだった。

 

しかし、生産財のトラックの開発には、燃費を考えた車体重量の軽量化、積載能力を考えた荷台スペースの最大化など、さまざまな要求すなわち制約条件がつきまとう。

 

社内基準と違って、お客様基準の開発は要求レベルが高い。

 

チームのメンバーはその厳しい壁を、『信頼と安全』というミッションの下に仲間と協力し合って乗り越えていった。

 

そして、『信頼と安全』というミッションの下で開発された新型トラックが試されるときが来た。

 

発売の年に、新型車は東北自動車道で大規模な玉突き事故に巻き込まれた。

 

運転台はめちゃくちゃに潰れ、死亡事故になってもおかしくないような大事故だった。

 

しかし、その車種のドライバーはかすり傷程度で助かった。

 

その家族の方から命を救った車に対するお礼の電話がかかってきた。

 

その電話で開発メンバーが男泣きするというドラマのような話があった。

 

先の原発も含めて、最近の起きている問題を目にするたびに、自分たちのミッションは何か?をもう一度考えてもらいたいと強く思う。

 

 

 

私のミッション : 「出会いから変革の想いに火を灯す」

 

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